せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。

 
祝・出版! 初めての本づくり顛末記
2006/2/6



 「犬のせっけん屋の里見です。」
ドッグ・ソーパー、ドッグ・アロマセラピスト、アロマテラピー講師・・・複数の肩書きを使わせていただいていますが、犬のせっけん屋と名乗ることがいちばん多いですね。何しろそんな肩書きの人はいませんし、わかりやすいからすぐに覚えてもらえるのです。(カンジンな名前を覚えていない!?) 
 わたしが犬のせっけん屋になろうと決意したのは、うちの犬たちとアロマテラピーとの出会いがあったから。彼女たちにいつまでも元気でいてほしいと思うと同時に、すべての犬たち、動物たちが、生きている限り健康で幸せに暮らしてほしいと純粋に願うようになりました。わたしが犬たちにできることはなに?それは彼らの心・体・自然にやさしいせっけんを作り、広めていくこと。ではどのように広めていくのか。その手段のひとつが本の出版です。

 せっけん作りやドッグアロマテラピーのノウハウが確立していくにつれ、ああ、これらのことが本にまとめられたら・・・と思うようになりました。漠然とした思いでしたが、2003年の夏、新聞で出版をすすめる新風舎様の広告に目がとまり、原稿も何もできていないのに思いのたけを綴った企画書だけを持って出向いたのです。面接室で待っている間、すでに何組かの方が面接をされていましたが、やっぱりきびしそう・・・たった1枚の企画書を持って出版社にやってきた自分が無謀に思えてきました。あのとき面接してくださった企画本部斎藤さんの言葉が今でも忘れられません。「ぼくはこの企画書を読んで怖くなりましたよ。」 その理由は、ペットシャンプーのきつい香り、派手な色、そのようなものが犬の体に必要なものなのだろうかと問いかける内容だったからです。斎藤さんも無類の愛犬家、わたしの思いに共感してくださったのです。こうして、新風舎様との共同出版が決まりました。

 さて、晴れて原稿執筆に取りかかることになったのですが、ここからがたいへん!執筆は自分と向き合う作業です。本の構想は出来上がっていても、どんな言葉で書き始めたらいいか、どうやったらわかりやすく思いの伝わる作品になるか、資料集め、ページ割りやレイアウトはどうするなどなど、思い悩むことがいっぱい!もう、書けなくて部屋の隅でヒザ抱えている日もあったりして。わずか64ページ、すぐにできると思っていたのに、甘い考えでした。それに実用書ってたいへんです!文章だけでなく、写真・イラストなど、総合的なイメージが大切ですから。イラストのモデルはうちの犬たちです。大学時代わたしは画学生でしたので、なんとか自分で描くことができました。撮影も自分。だいぶ前にアマチュアカメラマンだった叔父から撮影のコツを教わっていたことが役に立ちました。これまでにかじってきたいろいろな体験を肥やしに、イメージを少しずつカタチにしていきました。
 人との出会いも本作りに大きな影響を与えました。多くの方に読まれることを考えると、あやふやな内容を書くわけにはいきません。せっけん作りは化学ですから、説明には正確さが不可欠です。文献のチェックも必要ですが、せっけん運動に長年取り組んできたベテランの方々や、専門メーカーの方からのご指南はとても貴重なものでした。それに、アロマテラピーの恩師から受け継いだ癒しの心をプラス。こうして、製作がすすむにつれて様々な方の協力や応援が集約され、ついに原稿が出来上がりました。

 原稿ができると、ここからは編集者さんとの共同作業です。これまでのペット関係の本は、かわいいイメージのものが多いですが、わたしはかわいさや元気のよさを前面に出すよりも、アロマテラピーの清々しいイメージを持った本にしたいと思っていました。そして、単なるレシピ本でなく、楽しみながらも本当の健康や自然について考え、ドッグケアへの問題提起の役割を併せ持った本にしたいとお伝えしました。イメージを一本化するまでに議論は必要でしたが、編集担当の三浦さんには思いを十分に汲み取ってくださり、作業が進むについてお互いの意思がひとつに高まっていくのを感じました。締め切り前は深夜までがんばっていただいたことも・・・。本当に編集者さんとのコンビネーションは大切です。デザイナーさんにも、当初のわたしのイメージをプロのセンスとノウハウで発展させ、美しくわかりやすく作り上げていただきました。初めての出版にもかかわらず、このように書き手側の意見を最大限汲んでもらえるのは、共同出版のいちばんのメリットだと思います。

 これまでに犬の手作りせっけんの本は出版されていませんでした。出版されてからまだあまり時間はたっていませんが、自分の思いは広がりつつあるという気持ちが日に日に強まります。未経験の人でも出版のチャンスが与えられる時代です。確かに、出版には時間もお金もかかりますが、伝えたい、表現したいという強い思いのある人は、ぜひ勇気を持って取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、このコラムに寄せて、わたしの編集者・三浦さんからいただいたコメントをご紹介したいと思います。本当にありがとうございました。

 アロマせっけんに関する書籍は、常に幅広い年齢層の女性に支持されています。毎日の生活を少しでも豊かに楽しく、気持ちの良いものにしたい・・・そんな願いが、カラフルでステキな香りのする自分だけのオリジナルせっけんレシピ本には詰まっています。従来のアロマせっけん本と違い、“ワンちゃんのための”せっけんレシピという点で、はじめにこの本の企画をいただいた際、大変新鮮なお話だと感じました。また、里見さんの熱意に感銘し、これまでの彼女の研究成果を本にすることができたら・・・という思いで編集を進めさせていただきました。里見さんの長年のアロマテラピーインストラクターとしての経験をふんだんに盛り込んだレシピは、愛犬家の方にとても役立つ、充実した内容になっています。そして、私が特に編集の際に大事にしたいと思ったのは、“飼い主とワンちゃんが毎日を快適で豊かに暮らすための”里見さんの考え方や哲学で、ドッグ・アロマセラピストとしての彼女の熱い思いがこの本の深いところには流れています。また、飼い主さんが愛犬とのスキンシップをより深められるようなアイデアも満載です。是非、読者の方々には、この本に共感し楽しんでいただきたいと願っています。秘伝の「手作りアロマせっけん」を使って、かけがえのないパートナーに心から喜んでもらってはいかがでしょうか?愛犬との生活が素敵に変化していくことでしょう。
                             新風舎編集部 三浦千裕

新風舎につきましては現在ニュース等でいろいろな報道がされておりますが、今回のコラムは本を出したいとお考えの方々に出版の勧誘をするものではなく、あくまで筆者の体験をご紹介したものです。
ちなみに拙著につきましては、通常の書籍と同じように各書店に流通しております。筆者自身の経験の中では詐欺を疑ったことはございません。
2007,7,21 里見千佳







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