油脂データ一覧
用語集




せっけんって何でしょう?

せっけん・・・それは洗うためのもの。日々の暮らしに欠かせない日用品です。せっけんがヨゴレを洗い流してくれるのは、界面活性作用を持っているからです。油と水は混じりあいませんが、そこにせっけんが加わると、油と水の両方と手をつなぎ、お互いが混ざりやすいよう仲立ちをしてくれるのです。その結果、脂などのヨゴレは引き剥がされ、水とともに洗い流されます。せっけんは、製品の品名であり、陰イオン界面活性剤の名称でもあります。
 
                 TOP

せっけんの歴史

せっけんの起源は古く、紀元前3000年のメソポタミア時代、シュメール人が遺した遺跡に、その製造法などが記されています。大昔のせっけんは、洗うという目的のほか、薬品や化粧品、漂白剤としても使用されたようです。
古代のローマ、サポーの丘で人々は神に獣をいけにえとして捧げていました。火であぶった獣からしたたり落ちた脂と、薪として使った草木の灰が混じり合い、不思議な泡の出る土が出来上がったといわれています。この逸話が今日のせっけん、すなわちシャボンの語源となりました。ガリア地方で発掘された当時の神殿跡からは、せっけんの女神ジュノー・サポナリアの像が発見されています。
日本には16世紀の中ごろ、ポルトガルより初めてせっけんがもたらされました。舶来品だったせっけんも、明治時代には国産品が製造され、間もなく輸入よりも輸出が上回るほど盛んに製造されるようになりました。
しかし、第一次大戦当時の1928年には、ドイツで初めて
合成界面活性剤が開発されます。戦時下の動植物油脂の不足から、合成界面活性剤は開発がすすみ、日本では1962年、合成界面活性剤による洗浄製品(合成洗剤)がせっけんの生産量を上回りました。コストが安く、洗浄力をアップするさまざまな助剤の開発により、合成洗剤の生産は飛躍的に伸びましたが、一方では環境問題や健康問題をも生むこととなり、再びせっけんを使おうという運動もおこっています。

                  TOP

せっけんの性質

せっけんで髪を洗ったことがありますか? ぶくぶくとたくさん泡を立てても、すすぐときは意外と泡切れがいいことに気づくでしょう。すすいだあとはキシキシ感が残ると思いますが、酸性リンスを使うとおもしろいくらい指どおりがよくなります。洗い上がりはパラリとして乾きも早く、まるで髪が本来の状態にリセットされたかのように感じます。これまで使ってきた合成シャンプーやリンスのヌルヌル感はいったい何だったのだろうと思うはずです。

せっけんは
脂肪酸とナトリウムが結合してできた単純な物質。洗浄力に優れ、泡切れがよくてすすぎが早いという性質があります。泡切れがよいのは、必要以上に水に薄まると、たちまち界面活性作用を失うから。また、せっけんは水道水中のカルシウムと結合してすみやかに分解を始めます。合成シャンプーでは浸透性やたんぱく質への結合が強く、頭皮や髪表面にいつまでも付着し、かなりすすいでも流しきれないという実験報告が出ています。

水に溶けたせっけんは弱アルカリ性を示します。この性質は古くなった角質をふやかして剥がれやすくし、皮脂によるヨゴレをよく落とします。一般に、アルカリ性は有機物のヨゴレを、酸性は無機物のヨゴレを落とすのが得意なのです。ご自宅にある洗剤を見てください。皮脂汚れを落とさなければならない洗濯用洗剤の液性は弱アルカリ性、アンモニア臭や尿石などを落とさなければならないトイレ用洗剤は酸性です。

せっけんで洗うことにより一時的に弱アルカリ性に傾いた髪は、キューティクルが反り返るのでキシキシします。そこに酢やレモン、クエン酸水など酸性物質を薄めた液体でリンスすると、広がったキューティクルが瞬時に閉じて指どおりがよくなるというわけです。
陽イオン界面活性剤合成ポリマー配合のリンスと違い、被毛本来のまっさらな状態を保てます。

せっけんはその起源からもわかるとおり、条件さえ整えば自然界でもできるごくシンプルな洗浄剤であり、自然界に流れ出てもすみやかに分解します。環境にやさしいということは、めぐりめぐってわたしたちや動物他たちにも恩恵をもたらします。自然にやさしいせっけんを、最小限に使ってできるだけ環境を汚さない、自然からいただいたものを自然に活きるように返すことも、ナチュラルケアを目指す飼い主として忘れてはならないことだと思います。





TOP