せっけんの起源は古く、紀元前3000年のメソポタミア時代、シュメール人が遺した遺跡に、その製造法などが記されています。大昔のせっけんは、洗うという目的のほか、薬品や化粧品、漂白剤としても使用されたようです。
古代のローマ、サポーの丘で人々は神に獣をいけにえとして捧げていました。火であぶった獣からしたたり落ちた脂と、薪として使った草木の灰が混じり合い、不思議な泡の出る土が出来上がったといわれています。この逸話が今日のせっけん、すなわちシャボンの語源となりました。ガリア地方で発掘された当時の神殿跡からは、せっけんの女神ジュノー・サポナリアの像が発見されています。
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日本には16世紀の中ごろ、ポルトガルより初めてせっけんがもたらされました。舶来品だったせっけんも、明治時代には国産品が製造され、間もなく輸入よりも輸出が上回るほど盛んに製造されるようになりました。
しかし、第一次大戦当時の1928年には、ドイツで初めて合成界面活性剤が開発されます。戦時下の動植物油脂の不足から、合成界面活性剤は開発がすすみ、日本では1962年、合成界面活性剤による洗浄製品(合成洗剤)がせっけんの生産量を上回りました。コストが安く、洗浄力をアップするさまざまな助剤の開発により、合成洗剤の生産は飛躍的に伸びましたが、一方では環境問題や健康問題をも生むこととなり、再びせっけんを使おうという運動もおこっています。 |
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