せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。

 
犬のしつけあれこれ
~これから犬を迎える人へ~
2006/8/21


 初めての犬 “もも” が我が家にやって来て7年、“はな” が来て3年半、紆余曲折ありましたが、2頭ともすっかり家族の一員としていなくてはならない存在になりました。犬種も違えば性格も違う、育てていく過程で常に新しい経験があり、喜怒哀楽を共有してきました。教育されたのは犬ではなく、いつもわたしたちであったと思います。

 2ヶ月半の子犬 “もも” を迎えた当時は、まぁ家中ドタバタ駆け回るわ、あま咬みするわ、壁をかじるわ、モノを壊すわ、ベッドの上で脱糞・脱ションするわでもうタイヘン! 初めて犬を迎えた人はこの時点でかなりブルー。でも子犬ってそういうものなんですよね。人間の子だってそうじゃないですか。わたしの実家のサイドボードには歯型のキズがあって、よく母親から「これはあなたが赤ちゃんのときに咬んだ痕よ」と言われたものです。卑しかったのか乱暴だったのか、人が食事している横から茶碗に手を突っ込みごはんをわし掴みにして食べるクセもあったらしく、赤ん坊のわたしから逃げながらごはんを食べた・・・とも言っておりました。(恥)
 好奇心のままにいろんなことをして、ルール違反をしたら怒られる、うまくできたら褒められる、その繰り返し。その中で愛情と信頼関係も深まっていく。犬も経験を重ねるたびに、自分で何が良くて何が悪いのかを学び、自分で総合的に判断するようになる。こうして人間社会に適応していくわけですよね。そう、彼らは学び、分析し、判断することのできる存在なんです。ところが、わたしたち人間は犬に対してステレオタイプを持っていて、お手と言ったらお手をし、フセといったら素直にフセをする、条件反射のような従順な子をかしこい犬と思っているところがありますよね。わたしもそう思っていましたよ、以前は。
 ところがそう簡単にいかないのが現実。ももちゃんをいい子にしつけようといろいろなしつけ本を買って読み、実行に移すも挫折を繰り返す、素人飼い主の陥りやすい道を進んでしまったのでした。

 ももはトリーツを使ったトレーニングがまったくダメ。おやつとコマンドに従うことは彼女にとっては別の次元ことらしく、「なぜお手をしないとおやつが食べられないの?」と不満をあらわにし、頑としてお手をしません。それに、ももは知らない人からのおやつも食べません。ただし、彼女が必要と思ったコマンド(?)にはトリーツなしでも従ってくれます。
 そもそもわたしたちのトレーニングのやり方自体がまずかったのでしょうけど、おやつをご褒美にお手やフセをさせることに何の意味がある、と思い始めてしまったことも確か。そんなことできなくても、一度も困ったことはないと・・・。彼女がわたしたちに気づかせたのでした。
 いきなり挫折のしつけでしたが、愛情と信頼関係だけはしっかり育まれていたらしく、彼女も成長したのか、いつの間にかわたしたちの嫌がることはしなくなり、それどころかわたしたちに気遣いさえ見せるようになってくれました。そうしたほうがお互い幸せに暮らせると、自然に覚えたのかもしれません。

 もうしつけ本はいい・・・そう思ってしばらく本棚に納まったまま、書店に行ってもこの関連の本には手が伸びませんでした。そして数年、久しぶりにあるしつけ本に出会いました。それは、あの盲導犬クイールで一躍有名になった多和田悟先生の「クイール流 愛犬のしつけ方」。ネット書店を何気に検索していたときに見つけ、あぁ、クイールがあんなにヒットしたから・・・と、冷めた気持ちでレビューに目を通しました。

餌なし!体罰なし!「グッド」だけ!

こんなふうにしつけができればいいのに・・・わたしが漠然と願っていた理想のしつけが紹介されていました。要となったのはエサ。体罰は論外ですが、エサを使ったトレーニングは広く浸透しているせいか、何となくイヤだなと思っていても、その思いを払拭できるものが何もありませんでした。早速手にしたその本の「餌を多用すると犬は必ず意地汚くなる」「犬の稟性(ひんせい)を見極める」という言葉に強く心が動きました。エサでコマンドに従うというパターンが出来上がっても、そこからどうやってエサのない関係に移行できるのか・・・。エサなしのしつけ法に触れたことがなかったので、この本に出合えたことは新鮮な喜びでした。
 本を読んだだけでしつけができるものではありません。また、お手やフセをさせることだけがしつけではありません。それは誰もが知っています。もし、しつけ教室に参加したりトレーナーさんにお願いするときは、そこの先生がどんな基本理念を持っているか、先生の理念に共感できるか、先生とは犬の生涯にわたってよい関係を築けるかをよく見極めたうえで申し込みたいものですね。何しろ、うちの子の教育をお願いするわけですから。

 さて、もう1頭の家族“はな”は、トリーツを見せれば一生懸命コマンドに従います。初対面の人のコマンドでもOKです。だからといって、わたしたちとの信頼関係がないとは思いません。愛情深いこの子は、全身で「好き!」と言ってくれます。他の人も、犬も、動物も、みんな大好きです。それが“はな”の稟性なんだと思います。

 “もも” と “はな” は、我が家の小さな教室にいらっしゃる受講生さんに、彼女たちなりの方法で歓迎の意を表しています。吠えずにおとなしく迎えてくれるわけでも、お行儀よくハウスをしてくれるわけでもありませんが、愛嬌を振りまいて、来てくださった皆様に喜んでいただこうと一生懸命なようです。
喜んでもらえると自分も嬉しい・・・それって素晴らしいことじゃありませんか!
 



ISBN4-88342-241-0
本体価格1,500円+税
クイール流 愛犬のしつけ方
多和田悟
実業之日本社
犬はひとりぼっちでさびしい
菊池保裕
三心堂出版社
著者の多和田悟先生は、1974年より盲導犬訓練に携わってきたベテラン訓練士。有名であるがゆえあえて目を留めていなかったのですが(先生スミマセン)、先生の理念を知って、わたしが望んでいたのはこれだ!と思いました。映画だけでは知ることのできない多和田先生の理念「ドッグ・エデュケーション」について解説された本です。互いの存在を認め合える犬と飼い主の関係って理想です。 ももちゃんがうちに来た頃に買った本。獣医師の立場から、犬を迎える人たちにとって必要な知識を網羅し、犬たちをユニークな視点で観察したエッセイ風の解説書。こんな獣医さん楽しいな、菊池先生とお友達になりたいなと思いました。(*^ェ^*) 1999年2月に初版発行なのですが、今はどの書店でも見つかりません。古本屋さんで見つけたらぜひ手に取ってみて!









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