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せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。 |
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どうして?
~WWFのパンダを知っていますか?~ |
2006/9/5 |
愛玩動物飼養管理士講座のカリキュラムにはスクーリングがあります。主に動物愛護と飼養に関し、各々の方面の専門家から、丸1日かけて講義を受けます。このスクーリングで受けた講義は、わたしにとって忘れられないものになりました。
横浜私立大学教授のリチャード・ゴリス先生は、爬虫類やチンチラなどの研究者で、愛玩動物飼養管理士の認定委員でもあります。「なぜ象は涙を流すか」と題して動物愛護の過去と現実を語られたゴリス先生の講義は、とてもショッキングなものでした。
それはジャイアントパンダのお話でした。永いことジャイアントパンダは幻の動物といわれ、この動物を狩ることはハンターの夢だったそうです。合衆国第26代大統領セオドア・ルーズベルトの屋敷にはいろいろな野生動物の首のコレクションがあったといいますが、ルーズベルトの2人の息子は1929年、ジャイアント・パンダをコレクションに加えるべく中国に遠征し、外国人として初めてこの動物を狩ることに成功しました。そのときの様子はたいへん惨いものでした。初めて人間を見たパンダは逃げるどころか興味深そうに近寄ってきたといいます。そのパンダに向けて、毛皮を傷付けないために、眼球を撃ち抜いたそうです。
「これがその時の写真です。」
そう言って、ゴリス先生は眼球を打ち抜かれたパンダの写真を見せてくださいました。わたしは驚いて声を上げそうになりました! なぜなら、この写真にパンダの最期の意識が写りこんでいるように感じたからです。
・・・・・・その最期の思いとは「どうして?」でした。
パンダは前のめりに倒れ、人間に近寄ろうとしていた様子がうかがえました。即死だったでしょう。でも、撃たれてから絶命するほんのわずかな瞬間思ったに違いないこのパンダの「どうして?」が、電波のように押し寄せ、わたしの頭に焼きついてしまいまったのでした。
わたしはショックと涙で顔を上げられなくなり、その後先生が用意してくださった貴重なお写真のほとんどを、見ることができなくなってしまいました。
ルーズベルトによるパンダ狩り成功の後、遠征はしばらく行われていたそうです。やがてこの美しく愛くるしい動物が殺されることへの批判が高まり、1936年、ルース・ハークネスという米国人女性によって、遠征隊が撃ち殺したパンダの子供を保護することに成功。子パンダはスーリンと名づけられて米国に渡り、自然保護運動の象徴として1961年創設されたWWFのシンボルとなったということです。
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WWF
世界最大の自然保護NGO。生態系の保全から地球温暖化防止まで、生物多様性の保全に幅広く取り組む。 |
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ジャイアントパンダは現在世界で最も絶滅のおそれが高い動物として、厳密に保護されています。わたしは、実は「保護」という言葉が好きではありません。動物たちを保護するのは誰か?保護しなければならなくなったのは誰のせいか? ほかならぬ我々人間ではありませんか。うわべは良い意味合いの言葉のように聞こえますが、裏に傲慢さを含んでいるように感じられてならないのです。
野生動物が人里に現れて問題を起こす事件がよく報じられますね。ここはもともと動物たちの土地だったからとエサをあげたり、無理やり動物との共存を主張する人がいて、トラブルを大きくする話もよく聞かれます。では最善の解決法は? 我々がそこを去り、永い年月をかけて住宅地が緑に駆逐されて、ようやく彼らが戻れるようになるのでは?・・・・・・しかしそれは不可能というものです。
アフリカ諸国では野生動物事業が大きな収入源になっています。中には動物を追い詰めて観光客にハンティングさせるというおぞましいサービスまで! ライオンがライフルで撃たれ、大きな体がもがくように宙を飛び、倒れる姿をテレビで観ました。我々があらゆる面で動物たちの領域を侵さなければ、彼らは人の都合で狩られることも保護されることもなく、彼らの一生を全うできたでしょうに。
話は変わりますが、今年の春、気になる本を見つけました。ワンコ雑誌のブックレビューで偶然見つけた絵本です。タイトルは「どうして?」 ゴリス先生が見せてくださったパンダの写真が思い出されます。あれ以来、「どうして?」はわたしにとって気になる言葉。書店でこの本を何度か手にしながら、またあのときの悲しい気持ちになるのではと、開くことも買うこともできずにいました。・・・が、とうとう買ってきてしまいました。
それはやはり、1頭の犬が死の瞬間、自分を捨てた飼い主に残した言葉を綴ったものでした。もちろんこれは人間が書いた本ですが、作者自ら「語ることのできない彼らに代わって」と付記したように、犬を愛する人ならきっときっとわかるはず。彼らはとても一途で、信じることはできても恨むことのできない動物なんだなって。だから、最期の言葉は恨みや憎しみでなく「どうして?」だったのでしょう。恨んだり憎んだり、必要以上に知りたがったり欲しがったりするのは、きっと人間だけなんでしょうね。
この本を読んで涙をぼろぼろ流しているわたしに、眠っていたはずのはなちゃんがいつのまにか歩み寄ってきて、ぺろぺろと涙を舐めてくれました。気がつくとももちゃんも足元でわたしを見上げています。その目は「どうしたの?」と言っていました。しばらくわたしはそのまま泣きました。ももちゃんは「泣かないで」と目で慰めてくれます。とてもやさしい目です。本当にかけがえのない子たち。わたしはこの子達に絶対「どうして?」とは言わせない!
いつの間にか、2頭のうちの子たちは、わたしの足元で眠ってしまいました。子供のようで、友達のようで、教師のようで・・・天使のような存在です。
WWFのロゴマークと紹介文は、WWF Japanのライセンス条件に同意のもと使用させていただきました。 |
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どうして?
ジム・ウィリス/原作 石黒謙吾/文 木内達朗/絵
アスペクト
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この本の素晴らしさは、原作・文・絵のそれぞれの良さに加え、製作に携わった三者が、動物に対し同じ気持ちで仕事にあたっている点にあるのではないでしょうか。
巻末には、世界の著名人たちが遺した言葉が集められています。多くの著名人が犬を、動物たちを敬愛してきたのに、なぜ現実はよくならないのだろうと、日々のニュースを見ながら思います。
本棚のすみっこにいつもある本になるでしょう。犬の命のはかなさが悲しくて、どうしても涙が出てしまうけど、泣いたあとの心にはほんのりやさしさが残り、少しだけ強くなれたような気がします。
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