せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。

 
ズボラDOGアロマセラピストのスキンケア
2006/10/30


 今回は、犬でなく人間のせっけん&アロマのおはなしです。

 以前、お客様から私自身のスキンケアについて「日頃どうしているのですか?」とメールをいただきました。恥ずかしながらあまり化粧もせず、特筆すべきことははっきり申し上げてありません。・・・が、アロマテラピーを生業とする者のはしくれとして、いわゆる基礎化粧品だけは自分で手作りしています。新しい素材を見つけたりレシピを考える上で、作って試す作業は欠かせません。自分が常に実験台というわけですね。

 さて、ズボラ主婦といえば料理研究家の奥薗壽子さん、ズボラドッグアロマセラピストといえば・・・自分ではないかしら、というくらいめんどくさがりやで、夫からもチクチクと指摘される有様。ズボラとはいっても、以前にテレビで観た奥薗さんはコツコツ積み上げていく努力家でした。それに比べ私は、あぁ~筋金入り。本来この仕事はマメでなければいけないと思うのですが・・・幸い好奇心の強さが多少ズボラのマイナス面をカバーしているかな?というかんじ。そんなズボラ人間のスキンケアレシピをいくつかご紹介しようと思います。皆さん、あきれないでくださいね!

● 洗顔
 洗顔はもちろん自作の犬用せっけんです。せっけん屋の宿命として、作ったロットごとに自分で使用感を確認。レシピ開発中のもの、カット後の余った切れ端など、消費しなければならないせっけんはたくさんあります。でもおかげさまで、トシのわりに肌の調子は良好です。
 クレイパックもよく作ります。私の好みはベントナイトクレイ。吸着・被覆力が強く、パックしたあとはお肌がプルプルになります。ベントナイトとカオリンを1:1にすると感触がさらりとします。いずれも表皮の凹凸がなめらかになっているのを指で感じることができます。クレイパックの精油はゼラニウム&クラリセージがわたしの好み。

● ハミガキ
 このクレイパックなんですが、あるときふっと思ったんですね。『粘土のはみがき』なんて商品もあるくらいだし、このパック、ハミガキにも使えるんじゃないかって・・・。そこで、歯ブラシにパックを付け、磨いてみました。味はまずくて改良の余地があったけど、歯はつるつるになってさっぱりいかんじ。こんなことを思いつくのはズボラだから!?普段は太陽油脂さんの『パックス石けんハミガキ』を愛用しており、これもなかなか良いのですが、クレイハミガキはさらに研磨力が加わったかんじです。今は下のようなものを手作りして石けんハミガキと交互に使っています。

クレイハミガキレシピ
50mlのビンに入る分量
ベントナイトクレイ 10g
・重曹 20g
・精製水 40g
・グリセリン 5g
・ペパーミント精油 4滴
・ニームパウダー 薬味匙1杯
作り方
1.ベントナイトクレイを精製水でよく練る。
2.重曹、グリセリン、ニームを加えてさらによく練る。
3.最後に精油を入れてまんべんなく混ぜる。
4.容器に移し、早めに使い切る。(夏場は冷蔵保存)
練って混ぜるだけのカンタンレシピ。ニーム以外にセージやアロエのパウダーなんかもいいと思います。

 虫歯は酸が原因ですが、皆さん犬の口中はアルカリに傾いているのを知っていますか?だから犬は虫歯ができにくい、そのかわり歯石がたまりやすいのですね。せっけんハミガキの弱アルカリ性は虫歯を防ぐのにはもってこい。毎日きちんと磨くことで歯石も防げます。ベントナイトクレイも弱アルカリ性、粒子も細かいのでハミガキ向きだと思います。

犬の口中ペーハー。(pH8~9)
人間も唾液がよく出ていれば口中ペーハー値はアルカリ寄りになります。

● シャンプー

 シャンプーも自家製犬用せっけん。特に新レシピは自分の髪でテストすることが大切です。リンスは滅多にしません。子供の頃から細くてコシのないくせっ毛が悩みのタネでした。ストレートにあこがれて、ひと頃流行った『くせ毛矯正シャンプー』にはすぐに飛びつきましたね。髪も頭皮もあまり丈夫ではなく、合成シャンプーを使っていた頃はトラブル続きでした。そんなある日、会社の先輩から「髪の分け目が薄くなっているんじゃない?」と言われ、これは本当にたいへんだ!と思いました。それから数年の後、自作のせっけんで髪を洗うようになってから生まれて初めて髪にコシを感じるようになり、人からも薄いとか細いなどとは言われなくなりました。コシが出てくると、くせ毛の扱いも楽になりますね。洗いっぱなしはそれなりですが、電解還元水(水素イオン濃度の高い水)をスプレーし、スクワランオイルをごく少量のばしてからブローすると、意外にも髪は真っ直ぐになり、適度な水分が保たれます。つまり、セットは水と油、これだけ。オイルに精油をブレンドすれば芳香も楽しめます。

● ローションと乳液・クリーム
 わたしはよくジェルタイプのローションを作ります。保水力がありしっとりしますよ。
ジェルローションレシピ
100ml

・精製水 90ml
・グリセリン 10ml
・キサンタンガム 薬味匙1杯
・目的の精油 10滴
道具:ビーカー2個、泡立て器(小)
作り方
1.グリセリンと精油を混ぜる。
2.別容器に精製水を入れ、キサンタンガムを加えてかき混ぜる。
3.2にとろみが出てきたら1と混ぜる。
4.容器に移し、3週間程度で使い切る。(夏場は冷蔵保存)
精製水をハイドロゾル(芳香蒸留水)に代えてもいいですよ。

 次は乳液です。わたしのお気に入りの化粧品に太陽油脂さんの『ナチュロンクリーム』があるのですが、これは水と油を乳化するのに合成界面活性剤でなくカリせっけんを使用するというユニークなもの。たしかに、せっけんだって界面活性剤のひとつですものね。これを初めて使ったとき、瞬く間に肌になじんで油っぽさや水っぽさが全然肌に残らないのに驚きました。それを真似て、わたしもカリせっけんから乳液を作ってみました。クリームも要領は同じで、水分の割合を少なくします。
せっけん乳液レシピ
100ml

・精製水 40ml
・スクワラン油 30g
・シアバター 10g
・カリせっけん 15g
・目的の精油 10滴
道具:ビーカー2個、泡立て器(小)
作り方
1.精製水とオイル類を別々の容器に入れて湯せんする。
2.オイル類の容器にカリせっけんを入れてよく混ぜておく。
3.温度が65℃程度になったらふたつを湯せんからおろす。
4.オイルの容器に精製水を少しずつ入れながらよく混ぜる。
5.目的の精油を加えて混ぜる。
6.ボトルに移し、3週間程度で使い切る。
写真左の黄色いジェルは自作のカリせっけんです。精油には保湿作用のあるパルマローザとアンチエイジングによいフランキンセンスを使っています。

乳液、クリームを上手に作るのはなかなかたいへんです。何度も失敗しながらちょうどうまくいく分量を探っていきます。それでも余計なものを使わずにつくった化粧品は、お肌が「とっても楽よ」と言っているよう。合成成分を使った市販の化粧品を使うと、必ずおでこのあたりにちいさなぷつぷつが出てくるのですが、自作の化粧品やナチュロンシリーズではそういうことがありません。

● リップクリーム
 コレは一番簡単です。オイルを溶かして混ぜるだけですから。ふたつのレシピをご紹介しましょう。
蜜蝋リップクリームレシピ
リップクリーム容器1本分

・蜜蝋 1g
・ホホバ油 3g
作り方
1.蜜蝋とホホバ油を湯せんで溶かす。
2.容器に移して冷ます。
キャンデリラワックス
リップクリームレシピ

リップクリーム容器1本分

・キャンデリラワックス 1g
・ひまし油 1g
・ホホバ油2g

作り方
1.キャンデリラワックスとホホバ油を湯せんで溶かす。
2.ひまし油を加えて混ぜる。
3.容器に移して冷ます。
蜜蝋のレシピはちょっとベッタリしますが、ガサガサに荒れてしまった唇をカバーしておくのにGOODです。キャンデリラワックスのレシピのほうがさらりとして、普段使いに向いています。唇に色をつけたいときは、マイカを微量配合します。クレイや植物のパウダーでは唇には色がつきません。

 私はもともと唇が赤いほうなので、リップクリームだけでも十分。かえって色のはっきりした口紅は似合いません。唇が敏感で、市販の口紅・リップクリームがどうしても使えないという方、余計なものを入れないですみますし、とにかく簡単ですから作ってみる価値はあるかもしれませんよ。

 このように化粧品に関しては、ほんの少しの手間だけでほとんどお金をかけていません。根がズボラなので、続けられないような面倒なこともしていません。心がけとして、体に必要のないものはできるだけ使わないようにしているだけです。しかし実際多くの市販化粧品では、酸化防止剤等の合成成分を使わずに製品化するのは難しいですよね。ニールズヤードレメディーズのロミー・フレイザー氏も、著書の前書きにこう記しています。「最初にニールズヤードレメディーズ製品を開発した際に感じたことは、妥協も必要だということでした。」つまり、製品として販売・流通させるには、合成界面活性剤や保存料などを、たとえ自然に調和するものではないとしてもある程度使わざるをえない、ということです。
 さすがに、出る場所のTPOや周りの人に与える印象を考えると、お化粧や装いは必要とは思いますが、お肌にマイナスになるような量や使い方、製品選びはしないように・・・というのが私のポリシーなのです。こういった考え方やズボラレシピのいくつかは、もちろんドッグケアにも役立っています。
 

【アロマセラピー】
コスメティックス
ロミー・フレイザー
双葉社
お風呂の愉しみ
前田京子
飛鳥新社
英国ニールズヤードレメディーズが編集した手作りコスメの本。実際に製品化されているレシピもあります。写真も美しく、基本的な知識から実践レシピまで幅広く網羅。興味が尽きることのない一冊です。 手作りせっけんのさきがけとなったあまりにも有名な本。せっけんだけでなく、普段使いのコスメの作り方もたくさん紹介されています。前田さん流のナチュラルなライフスタイルに共感した方も多いはず。


今回のコラムはいかがでしたか?感想をお待ちしております。
info@pb-dogsoap.com








TOP