せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。

 
動物のアロマセラピスト
~学ぶものと培うもの~
2006/12/16


 横浜の繁華街にある小さなアロマテラピー教室。ここでアロマセラピストであり気功師であり、自然や動物をこよなく愛する恩師と出会いました。
 先生からはアロマの知識だけでなく、セラピストとして本当に大切なものを教えられました。『教える』というよりは『示す』といったほうが適当かもしれません。先生の何気ない話し方や行いの中に垣間見えるいたわりややさしさ、それは今までわたしの価値観の中にはなかった“何か”でした。せっけん作りのコンセプトである『体に必要のないものは入れない、環境に必要のないものは出さない』も、先生から受け継ぎました。

 人のアロマから動物のアロマへ学びの場が移ると、最初は人と動物の違いが気になって、物理的なことばかりに興味が移ってしまいました。動物に使ってはいけない精油は何か、希釈濃度のガイドラインは何パーセントか、鎮静にはラベンダー、殺菌にはティートリー、などなど・・・いつの間にか単純にお薬を扱うような捉え方をしていましたね
 しかし、そんなふうに捉えるべきものではないということが、身をもってわかってきました。アロマテラピーの施術によって、犬の意外な一面が現れたり、飼い主さんも気づいていない犬の内面に触れて、自分自身が驚かされることになったからです。不思議ですね、アロマテラピーって。今でも鮮明に思い出すふたつの体験をご紹介します。

 このお話は以前何かに書いたかもしれませんが・・・まだわたしがペットアロマのスクールに通っていたころ、動物病院にマッサージの実習にいったとき、病院に飼われているシーズーを任されました。生徒で2人一組になって精油選びからマッサージまでを行うのですが、ちょっとしたはずみでその犬の本心を垣間見ることになりました。
 8歳のオスのシーズーで膝蓋骨脱臼を患い、目に勢いもなくたいへん神経質、先生のお話では、臆病から咬むこともあるらしい。そんなシーズーくんにわたしたちが選んだのは、レモングラスとイランイランというたいへん強力な組み合わせ。1:1を2%でブレンドしてマッサージ。後から思うと、精油の選択と濃度が問題だったと思います。次第に顔つきが変わり、俄然元気が出てきたシーズーくんは、わたしたちの腕や足やカバンにまでマウンティングを始めたんです! きっとあとでぐったりしてしまったことでしょう。でもこの子、本当はこう在りたいんだなと教えられもしました。年をとって足が悪く、なりたい自分になれない憂鬱と不満をかかえていたのが、アロマのチカラで一気に解き放たれたようでした。

 ある犬のイベントで出店させてもらったときのこと。会場に連れてこられたボーダーコリーの女の子、ほんの一瞬目が合って、いやにお互い引きつけられるような気になり、「こんにちは、よく来てくれたね」と、何気なくマッサージが始まってしまいました。ものすごーく気持ちよさそうに触らせてくれ、耳も尻尾も全然いやがりません。突然なことで、マッサージオイルも使っていませんでした。終わったあと、飼い主さんがとてもびっくりしていて、「この子が知らない人に体を触らせるなんてことはないんですよ」と教えてくれました。そのとき感じたのは、この子箱入り娘みたいな印象だなーということと、とても愛されて暮らしているけど、もっと何かさせてもらいたがっているということ。愛玩されすぎてボーダーコリー本来の能力の高さを発揮させる場がなく、神経質になっているようでした。生まれ持った特性を満足させてあげるのがいかに大切かを教えられた出来事でした。

 こういった体験を重ねるうち、わたしは先生が示してくれた言動のひとつひとつが、アロマセラピストとしていかに大切だったかを実感するようになりました。動物でも人間でも、平等に心を開き、やさしさといたわりの気持ちをもって接すること、「あなたは大切な存在よ」と言えること、全身全霊で受け入れようと努力すること・・・そういった気持ちは自然と言葉や行動に現れ、気となって発せられるものです。それは学べば得られるものでなく、自分の中で大事に育て培っていくものもの。アロマセラピストは精油の知識や施術を習得した人である前に、人や動物と植物とをつなぐヒーラーでなくてはならないのですね。

 失敗することもありました。原因はたいがいわたしの方にあって、飼い主さんやイベントのオーガナイザーさんの顔色を伺っていたり、自分にわだかまりや焦りなんかがあって、集中できていないんです。こういうときはどんなに永く触れても、犬はなかなか落ち着いてくれませんし、意思レベルで「通じた!」という実感もわいてきません。まだまだ未熟ですね。
 ところが、散歩中にすれ違った犬にパッと何かを感じるようなことがあります。写真や映像を見ても、時々同じような感覚を覚えます。一瞬のひらめきのようなものですが、「あ、この子家ではずいぶん威張っているらしいな」とか、「おとなしくて控えめな子だな、たまには思い切り発散できるといいね」とか・・・。犬好きな方なら、きっと知らず知らずのうちそうんなふうに思うことがあるはず。実はこの感覚ってセラピストにとってすごく大事だと思うんです。

 アロマテラピーは多くの自然療法の中でも、比較的科学的な説明が可能な分野です。しかしアロマセラピストたちは、科学で説明のつかない感覚的・超自然的側面を重んじています。気だとかエネルギーだとかは胡散臭いと思われるかもしれませんが、ためしにご自分のワンちゃんをマッサージする前に深呼吸したり瞑想したりしてみてください。自分の体に癒しの気が集められ、それをマッサージする手からワンちゃんに渡してあげようと考えてみてください。きっと何か違ってくるはずですよ。

 心がハッピーでないとアロマテラピーはうまくいきません。でも動物たちを見ていると、自然と心がハッピーになってきます。「嬉しい、ありがとう」って思いながら触れると本当に気持ちよさそう、わたしの心も気持ちよくなります。そういった点ではわたしのほうが彼らに癒されているのでしょうね。


 下の文はわたしの先生のサロン案内書に載っていたものです。だいぶ前にいただいたのですが今でも大事にとってあり、たまに読み返します。大切なことを教えてくださった先生に感謝しています。
文章内の『自分』と『体』を、愛すべきワンちゃんに置き換えて読んでみてください。

人からどんなことを言われたりされたりしたときつらくなりますか?
もしかして・・・それと同じことを
自分に向かってしていませんか?

お体はあなたが生まれたときからずっと一緒。
精一杯働き、あなたが怖がったり悲しむと、あなたを守ろうとして
筋肉をこわばらせます。
他の重要な作業も後回しにして。

そんな状態が続くと、ついにもう頑張りきれずボロボロになってしまいます。無理な姿勢を続けたり、偏った食物しか届けてもらえなかったりでも壊れます。

なのに私たちは
の不調を嘆き、文句をいい、
安易に薬や何かに頼り、任せようとします。

「よく働いてくれたね、ありがとう。」ってねぎらい、
やさしく辛い所をさすってもらったら、
も嬉しくってほっと休まり、
また活力が出てどれほど回復できるか。

気づいてあげてください。

難しいことはありません。
ひたすら「
が気持ちいい」ことをしてあげましょう。
温かいお湯に入れてあげたり、揉んだり、のんびりぼーっと体を
横たえてあげたり、体本来のリズムを取り戻させてあげたり、
きれいな空気、水、食べ物をたっぷり届けて。

そんな時いつも『植物の香り』が、とても有能に手伝ってくれます。
生きている植物が作り出す香りが、エネルギーをくれます。

どうして?って・・・
それは、植物は地球上の生物を育ててくれている存在だから。


 

動物を癒し、動物に癒される
~ヒーラーとして目覚めた獣医師の話~
アレン・M・ショーン 他
チクサン出版社
アニマル・コミュニケーター
リディア・ヒビー
ボニー・ワイントラーブ
VOICE
著者は代替療法を積極的に取り入れている獣医師で、体験が多く綴られています。動物を癒すのに大切なのは知識や技術でなくわたしたちの心。動物のアロマセラピスト必読の書だと思います。 いいですよね、人と人が話すように動物と話せたら・・・。筆者は誰にでもできるといいますが、アニマル・コミュニケーターの通訳は、あまりに詳細で驚くべきものです! 


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info@pb-dogsoap.com








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