せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。

 
第7の感覚
2007/8/2


 ここのところ毎日のようにニュースで報じられる年金問題。まったく驚き、あきれ、憤慨するばかりです。払っていたのに支払いの記録がないという方の怒りの声は、テレビや新聞でしょっちゅう目にします。中でも「たとえ体がバラバラになっても、わたしは細胞のひとつひとつから口を開けて払いましたと言います!」と訴えた主婦の方がとても印象に残りました。しかし、年金問題をここで論じようというわけではありません。変な話ですが、『細胞のひとつひとつから口を開けて言う』という表現が、私の中で妙にせっけんとつながってしまったんです。

 細胞・・・ヒトの体は約60兆個の細胞から成っているといいますが、もちろん細胞が口を持っているわけはありません。しかし、1個1個の細胞も生きて活動している以上、栄養を取り込み、消化し、排泄をします。細胞の中には遺伝情報を持つ核があり、ミトコンドリアやゴルジ体、リボソームなどの細胞小器官があって、生きていくための活動を行っています。そしてこれらのパーツが流れ出ないよう、膜(動物)や壁(植物)が外側を覆います。1個の細胞の中も、エネルギーを生産したり、増殖したり、侵入者と戦ったり、生きていく一連の営みがあるのですね。
 細胞がたくさん集まって神経や筋肉などの組織を作り、さらに組織が集まって脳や心臓などの臓器を作り、臓器が集まって器官を形成し、ひとつの体が出来上がります。

    イラスト:里見
・・・           DNA、RNAを含み、遺伝を支配する。
ミトコンドリア・・・    エネルギーの生産工場。
小胞体・・・        タンパク質の輸送路。
リボソーム・・・      タンパク質をつくる。
リソソーム・・・      細胞内で消化や分解を行う。
ゴルジ体・・・       リソソームをつくる。
葉緑体(植物のみ)・・・水と二酸化炭素からデンプンを合成する。


 五感を感じることができるのも、たくさんの細胞の働きがあるからです。たとえば触覚。皮膚の真皮層にはマイスナー小体という触覚器がありますが、この小体がキャッチした刺激が脳に伝わることで、触ったと感じることができます。視覚でしたら、網膜に映った像を信号に変え、視神経を通って脳に伝わります。多数の神経細胞や感覚細胞が働いて、脳という器官が感じたと認識するのです。ちなみに、「気持ちいいい~」と感じる脳は大脳の奥の方にある辺縁系という領域です。ここは情動を支配する原始的な脳。アロマテラピーの香りによる「気持ちいい~」も、やさしく触られたときの「気持ちいい~」も、この領域で感じています。

 でも待てよ、ちょっと違うような気がする・・・とわたしは思いました。それはいつぞやの「細胞のひとつひとつが・・・」という言葉がきっかけでした。
 自家製のせっけんを使うようになって、皮膚も髪も調子いいと気づきます。それもなーんとなく、あらら・・・?というカンジで体からの声に気づき、「これ、いいねー!」って理解するわけです。これ、脳より先に気持ちいいって感じている部分がある!何だろう・・・・・・?
 「細胞のひとつひとつが口を開けて」という表現は、ただのたとえではないかもしれないゾ。特に体の内と外の境界にある皮膚細胞は、毎日シャンプーやボディソープを塗りたくられ、ごしごし擦られるという過酷な刺激を受けています。もし塗りたくられたのが相性の悪いものなら、細胞は不快を感じてぎゅっと膜をこわばらせたり、マズイものをぺっと吐き出したりするんじゃないかしら。もし相性のよいものなら、細胞の内と外や細胞同士のやりとりがスムーズになって、張り切った元気な状態になるんじゃないかしら。口や鼻や脳があるわけではないけど、ひとつひとつの細胞が「気持ちいい~、楽チ~ン」って感じている、これってひょっとして五感とは違う―もちろん第六感でもなく―七番目の感覚じゃない?

 何だかお医者さんに聞かせたら、「断じて違う!」と言われそうな話ですね。超個人的な見解ですので、どうか真に受けないでください。
 でも生き物ってすごい。ヒトゲノムの解読だとか、クローンだとか、生物学はすごい勢いで進んでいるけれど、まだまだ不思議はいっぱいある!生き物の体を知るのは本当におもしろい。それにしても、こんな突飛なことをつい考えてしまうわたしって・・・・・・ハイ、変わり者って言われてます。




寄生虫博士の
おさらい生物学

藤田紘一郎
講談社
もやしもん
石川雅之
講談社
寄生虫関連の書籍を多数持つ、藤田先生の本。といっても、これは寄生虫の専門書ではありませんし、虫の写真も出てきません。全体には、ああ、これ高校の生物でやったな~となつかしく思い出す内容ですが、一見難しいことも、とってもユニークにわかりやすく説明されているので、学生時代にわからなかったことを「なるほど!そーだったのか」と改めて納得。このトシになってお勉強するのって、結構楽しいものです。 「あなた絶対好きだと思う!」と友人が貸してくれたのがこのマンガ。もやしとは野菜ではなく、ひ弱くんのことでもなく、お酒を醸造するときに用いられる種麹のこと。菌の見える農大生が主人公の学園生活がテーマです。あちこちに菌のプロフィール、うんちくがちりばめられた、菌入門者の参考書的コミック。小田原の「生命の星博物館」ミュージアムショップでも売っていたっけ。







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